モテカメが部屋を見回したところ、カメ吉がカメラ雑誌を熱心に読んでいるのが目に入った。
「お、写真の勉強中か?いい心がけだな。何か知りたいことがあるのか?」
「うん。最近よく“カメラマンにはコミュニケーション能力が必要”って書かれてるのを見かけるんだけど……。それって、いったいどんな能力のことを言ってるのかなって。」
モテカメはニヤリと笑って言った。
「そうか。お前、撮影会のときに毎回自分が好きなアニメや野球の話ばっかりしてモデルさんの顔ひきつっているからな。そりゃ悩むよな。」
「う・・・、じゃ、何なのか教えてくださいよ、モテカメ様」
「コミュニケーション能力か・・・。少し意外かもしれないけど、実は“剣道”にヒントがあるんだ。」
「え?剣道?」
「剣道は礼に始まり礼に終わる。これは戦う相手でも礼儀を尽くす精神を重んじる武道だ。撮影会におけるコミュニケーションもそれと同じだよ。」
「でも、撮影会って“戦い”じゃないよ?」
「たしかにそうだ。だが、相手に敬意をもって接するという点では同じだ。相手が“人”である限り、コミュニケーションの本質は“礼儀”と“思いやり”に尽きる。」
「……礼儀と、思いやり……」
「まずは基本を押さえろ。『こんにちは、今日はよろしくお願いします』としっかり挨拶をする。
撮影が終わったら『今日はありがとうございました』と感謝を伝える。
それだけでも印象は全然違うぞ。」
「でもそれって、普通のことじゃない?」
「普通のことを“丁寧に確実に”やれるやつが少ないんだよ。テンパってカメラの設定ばっかりに意識がいって、肝心の相手に気を配れない。それが“コミュニケーションが苦手”って思われる原因だ。」
「……たしかに、焦って余裕なくなっちゃうかも。」
「そして、剣道では胴、面と声に出して相手に斬りかかる。これをカメラで言うなら全身を撮ります、上半身を撮ります。と自分の行動をはっきりさせることだな。無言でシャッターを切られたらモデルさんはどう動いたらいいか迷いが生じてしまう。常に相手を思いやる心が大事だ。」
「そして、剣道には残心、というものがある。勝負が決したあとも相手への敬意を忘れない精神だ。これを写真で言えば撮ったものを見せることになる。モデルさんに写真を見せれば、自分の写り方を確認できるし、良かったポイントを伝えれば「ちゃんと見てくれてるんだ」と信頼感が生まれる。髪は結んだほうが良さそう、とモデルさんが気づいたりすることだってある。そうして互いの意識を共有することでいい写真が出来上がるものだ。」
「あともう一つ。会話の中心は“モデル”に置け。お前が最近ハマってるアニメの話は誰も聞きたくない。」
「うぅ……それは反省します……」
「モデルの髪型や衣装を見て“似合ってますね”とか、“今日は何かテーマがあるんですか?”と聞く。それで十分。話しすぎる必要はない。モデルが気持ちよく撮影できるように、場を整える。それがカメラマンとしての最高のコミュニケーション能力だ。」
「コミュニケーション能力についてわかった気がするよ。剣道の精神で撮影会に挑むことにするよ。」
「剣道では、戦わないときの“武器の手入れ”も大事だ。カメラマンも同じだぞ。
さあ、俺をピカピカに磨け!」
✅ まとめ:撮影会で求められるコミュニケーション能力とは
コミュニケーションとは、会話の上手さではなく“礼儀と気配り”。
基本の挨拶「よろしくお願いします」「ありがとうございました」を丁寧に。
モデルの気分を察し、快適に撮影できる環境をつくるのがカメラマンの役割。
自分語りを控え、“相手の話を引き出す”質問力が効果的。
焦って余裕を失わないように、撮影前にカメラ設定や照明の準備を済ませておくことが大事。


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