第12話:モデルさんが弱音を吐いていてモヤる

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カメ吉がパソコンの前で、腕を組んだまま固まっていた。
画面には、とあるモデルのSNS投稿が映っている。

「……どうした? ずいぶん難しい顔してるな」

モテカメが声をかけると、カメ吉は画面を指さした。

「この投稿さ……
『撮影会の予約が全然入らない……私のこと、もう忘れた?』って……」

「ふむ」

「なんかさ、放っておけなくて。
応援してあげたほうがいいんじゃないかなって……」

少し間を置いて、モテカメが淡々と言った。

「そっとミュートだな」

「えっ!?」

カメ吉は椅子から身を乗り出した。

「なにそれ!?
何もしないってこと? ひどくない?」

「ひどくない。妥当だ」

「でも、困ってるんだよ?
そういうとき、助けてあげるべきじゃないの?」

モテカメは一瞬だけ黙り、低い声で言った。

「いいか。
その投稿、何をしているかわかるか?」

「……予約がうまく埋まらなくて弱っているということでしょ?」

「違う。
“私は今、商品として売れてません”って宣言してるだけだ」

「……。」

「自分という商品に魅力がないことを、わざわざ表で言ってる。
それを見て、誰が『よし、予約しよう』と思う?」

カメ吉は言葉に詰まった。

「じゃ、じゃあ、
そのことを教えてあげよう……」

「やめとけ」

即答だった。

「どうして?」

「そのモデルさんはな、そもそもこの仕事に向いてない」

「そんな言い方……」

「現実だ」

モテカメは続ける。

「本当に予約を埋めたい人間は、弱音を吐く前にやることが山ほどある。
投稿を増やす。
既存のファンに丁寧に告知する。
繋がっている人に営業メッセージを送る。
恥をかいてでも、必死で考え、手を動かす」

「……。」

「それを一切せずに、『予約が入らない』と嘆く。
それは努力不足じゃない。“覚悟不足”だ」

カメ吉は視線を落とした。

「じゃあ……僕は、何もできないの?」

「できることは一つだけだ」

「なに?」

「“期待しすぎない”ことだ」

モテカメは静かに言った。

「弱音を吐いた投稿に反応しすぎると、依存が生まれる。
『弱音を吐けば構ってもらえる』って学習する。
それはモデル本人のためにならない」

「……。」

「だから、そっとミュートだ。
本気でやる人間は、また行動で目に入ってくる。
そのとき、初めて応援すればいい」

カメ吉は画面を見つめたまま、小さく息を吐いた。

「……応援するって、優しくすることだけじゃないんだね」

「そうだ。
“距離を取る勇気”も、立派な応援だ」


✅ まとめ:弱音に反応しないのは冷酷ではない

  • 弱音投稿は「売れていない宣言」であり、購買意欲を下げる
  • 本気の人は、弱音より先に行動する
  • 求められていない助言は、相手を依存させるだけ
  • 反応しないことは、相手の自立を奪わないための選択

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