カメ吉がパソコンの前で、腕を組んだまま固まっていた。
画面には、とあるモデルのSNS投稿が映っている。
「……どうした? ずいぶん難しい顔してるな」
モテカメが声をかけると、カメ吉は画面を指さした。
「この投稿さ……
『撮影会の予約が全然入らない……私のこと、もう忘れた?』って……」
「ふむ」
「なんかさ、放っておけなくて。
応援してあげたほうがいいんじゃないかなって……」
少し間を置いて、モテカメが淡々と言った。
「そっとミュートだな」
「えっ!?」
カメ吉は椅子から身を乗り出した。
「なにそれ!?
何もしないってこと? ひどくない?」
「ひどくない。妥当だ」
「でも、困ってるんだよ?
そういうとき、助けてあげるべきじゃないの?」
モテカメは一瞬だけ黙り、低い声で言った。
「いいか。
その投稿、何をしているかわかるか?」
「……予約がうまく埋まらなくて弱っているということでしょ?」
「違う。
“私は今、商品として売れてません”って宣言してるだけだ」
「……。」
「自分という商品に魅力がないことを、わざわざ表で言ってる。
それを見て、誰が『よし、予約しよう』と思う?」
カメ吉は言葉に詰まった。
「じゃ、じゃあ、
そのことを教えてあげよう……」
「やめとけ」
即答だった。
「どうして?」
「そのモデルさんはな、そもそもこの仕事に向いてない」
「そんな言い方……」
「現実だ」
モテカメは続ける。
「本当に予約を埋めたい人間は、弱音を吐く前にやることが山ほどある。
投稿を増やす。
既存のファンに丁寧に告知する。
繋がっている人に営業メッセージを送る。
恥をかいてでも、必死で考え、手を動かす」
「……。」
「それを一切せずに、『予約が入らない』と嘆く。
それは努力不足じゃない。“覚悟不足”だ」
カメ吉は視線を落とした。
「じゃあ……僕は、何もできないの?」
「できることは一つだけだ」
「なに?」
「“期待しすぎない”ことだ」
モテカメは静かに言った。
「弱音を吐いた投稿に反応しすぎると、依存が生まれる。
『弱音を吐けば構ってもらえる』って学習する。
それはモデル本人のためにならない」
「……。」
「だから、そっとミュートだ。
本気でやる人間は、また行動で目に入ってくる。
そのとき、初めて応援すればいい」
カメ吉は画面を見つめたまま、小さく息を吐いた。
「……応援するって、優しくすることだけじゃないんだね」
「そうだ。
“距離を取る勇気”も、立派な応援だ」
✅ まとめ:弱音に反応しないのは冷酷ではない
- 弱音投稿は「売れていない宣言」であり、購買意欲を下げる
- 本気の人は、弱音より先に行動する
- 求められていない助言は、相手を依存させるだけ
- 反応しないことは、相手の自立を奪わないための選択


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