カメ吉が部屋をせっせと掃除していた。 珍しく床も机も片付いている。
「お、珍しいな。いつになく一生懸命掃除してるじゃないか」 モテカメが感心したように声をかける。
「推しがさ、『清潔感がある人が好き』ってWebアンケートに書いてたんだ。 だから清潔にしておかなくちゃと思ってさ。」
「ふむ、それは悪くない心がけだな。」 モテカメはカメ吉をじっと見つめる。 「……だが、お前、頭ボサボサだぞ。ヒゲも剃ってないし。しかもこのあと撮影会だろ。」
「えっ?休日は会社行かないんだからいいじゃん。 昨日ちゃんとお風呂に入ったし、清潔だよ。」
「バカヤロウ!お前は“清潔”と“清潔感”を履き違えている!」 モテカメが声を張り上げた。 「えぇ!?どういうこと?」
清潔=汚れていないこと
「たしかに昨日風呂に入ったなら“清潔”だ。 汚れてない、臭ってない、病気にならない、それが“清潔”。」
清潔感=管理されていること
「だが、“清潔感”はもっと別物だ。 清潔感とは “自分から出てくるものをきちんと管理しているか” なんだ。」
「自分から出てくるもの……?」
「そうだ。例えば――」
髪:寝ぐせ・フケ・脂ぎった髪はNG。整髪料でまとめて管理する。
まゆげ、鼻毛:伸びていれば切りそろえる。眉毛が薄ければ描く。
ヒゲ:無精ヒゲは清潔感ゼロ。剃るか、整える。
爪:伸びっぱなしや黒ずみは不潔に見える。短く切る。
体臭:制汗剤、臭いのきつくない香水をつける。
「つまり“生えっぱなし”“伸びっぱなし”“放置”は全部アウトってことだな。」
「……あぁ……僕のことじゃん……」 カメ吉は思わず自分の頭をかいた。
「お前がどんなに部屋を掃除しても、撮影会に行くときの見た目がだらしなければ“清潔感ゼロ”扱いだ。 女の子が“清潔感が大事”って言うのは、まさにこの管理のことを指してるんだよ。」 モテカメはさらに続けた。 「清潔感っていうのは、目に見えることだけじゃない。 振る舞いや言葉遣い、そしてSNSの発言にまで表れる。」
「SNSも……?」
「そうだ。最近のSNSを見れば、注目を浴びるために汚い言葉をつかったり、周りが汚い言葉を使うように煽ったりする発言ばかりだろ。そんなところに飛び込むようなことをしてはいけない。」


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